
元日本代表監督のヴァイッド・ハリルホジッチ氏が4月27日、都内で記者会見を開き、約1時間20分にわたって現在の心境を吐露した。会見でハリルホジッチ氏は「何が起こったのか、みんな質問してくる。私自身が田嶋(幸三・日本サッカー協会)会長に聞きたい。私の得意分野である最後の詰めの仕事をさせてくれなかった。ブラジル(ワールドカップ)に続き、日本でもいい仕事をしたと思っている。ここからだという時に仕事ができなくなった」と無念さを滲ませた。
ハリルホジッチ氏と言えば、アルジェリア代表の監督時代、試合ごとにメンバーを入れ替えてブラジルW杯ではベスト16に進出。自身が述べたように、対戦相手を分析して「対処療法」で結果を出す監督である。その仕事を奪われただけに、ショックも大きかったことは想像するに難くない。
田嶋会長は解任の理由を「コミュニケーション不足」としたが、ハリルホジッチ氏は「なら、会長は一言『ハリル、問題が起こっているようだけど、どうなんだ』と私に聞いてくれればよかった。スタッフと話したというが、なぜ外国人スタッフと話をしなかったのか」と疑問を口にした。
解任の危機は昨年12月、E-1選手権で韓国に1-4で敗れたときもあったと聞く。しかし、このときは後任監督が見つからずに続投が決まったという。これは推測にすぎないが、もしも12月に監督を交代した場合、田嶋会長は今回と同じようにその決断の是非を問われることになるが、それは時期的にリスクも高かった。
ハリルホジッチ氏は「ウクライナに負けたことが解任の理由という方がよくわかる。私は田嶋会長に『ベルギーに来て欲しい』と言ったが、『用があるので』と断られた」ことを明かした。田嶋会長がベルギーに行けなかったのは、その時期が会長選と重なっていたからだ。結果的に対立候補は出ず、3月24日、無風で田嶋会長の続投が決まった。2期目の続投が決まったことで、田嶋会長はハリルホジッチ氏の解任に動いたのではないだろうか。監督交代の責任を問われても、自身の地位はしばらく安泰だからだ。