この点でエンゼルスは大谷争奪戦における大きなアドバンテージを得た。昨季のエンゼルスはシーズンを通して先発ローテーションを守ったのが、33試合に先発したリッキー・ノラスコのみ。しかもそのノラスコはオフにフリーエージェントとなっていた。二桁勝利を挙げた先発投手もJ.C.ラミレス(11勝)とパーカー・ブリッドウェル(10勝)のふたりだけで、いずれもメジャーキャリアが短く大型契約の対象ではなかった。それでいて先発投手の頭数だけはそれなりに揃えられそうなチーム事情は、まさに中6日ローテーション実現にうってつけだったと言っていいだろう。

 このように、大谷がメジャーリーグでも「二刀流」にこだわっていた以上、エンゼルスを新天地に選んだのは当然の帰結だった。もちろんチーム編成は流動的なものではあるが、大谷が「二刀流」として結果を出してしまえば、編成上の最優先事項がどこになるかは自明。幸先のいいスタートを切った大谷としてはこのままシーズンを通じて投打で貢献することで、エンゼルスを「大谷ありきのチーム」としてしまえれば将来的にも安泰なはずだ。(文・杉山貴宏)

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