現地17日のレッドソックス戦では2回3失点の内容で、メジャー初黒星を喫したものの、打っては圧巻の3試合連続アーチ、投げては2連勝と、「二刀流」プレーヤーとして非の打ちどころのないデビューを飾った大谷翔平。この上々の滑り出しはもちろん本人の非凡な才能あってのことだが、エンゼルスのチーム挙げてのサポートも忘れてはならない。大谷は重要なチーム選びにも成功したと言っていいだろう。
大谷がメジャー挑戦を表明して以降、各球団による争奪戦の報道は瞬く間にヒートアップ。ヤンキースやドジャースといった資金力のある強豪の名前が浮かんでは消え、最終的には、ここ数年はプレーオフから遠ざかるなど強豪とは言い難いエンゼルス入りとなった。だが「二刀流」にこだわる大谷にとっては、エンゼルス入団は必然に近かった。
メジャーでも「二刀流」を続けるために譲れない条件はふたつ。指名打者での起用と中6日での先発ローテーションだ。いかに大谷といえども、外野手として守備をこなしながら先発投手としてマウンドに登るというのはフィジカル的に無理な話。打者としての出場は指名打者に限定しないと長いシーズンは戦えない。この時点で指名打者制を採用していないドジャースらナ・リーグ球団は新天地候補から外れることになる。
もっとも、この点については、エンゼルスも当初は分が悪かった。近年は専属の指名打者を置かずに複数のレギュラー野手をローテーションで指名打者として起用し、守備の負担を減らすチームが増えているが、2017年のエンゼルスはベテランスラッガーのアルバート・プホルスが指名打者として143試合に先発出場していたからだ。
しかし、ここでエンゼルスは大ばくちに出る。今年で38歳になったうえに、ここ3年はほとんど守備に就いていなかったプホルスに一塁を守らせることで指名打者の座を大谷のために空ける意向を示したのだ。プホルスにかかる負担を考えると、これは生半可な決断ではない。それゆえに大谷サイドへの本気度アピールはこの上ない効果を上げたはずだ。