実は、性感染症の検査であれば、病院にいかなくても自宅で検査をすることができる。検査キットをインターネットで注文し、自分自身で検体を取って郵送すれば、匿名で検査結果をすぐに知ることさえできる。
筆者も、本当に簡単にできるのかを試すため、早速インターネットで注文し自宅で使用してみた。最初は、どんな検査キットなのか、本当に自分でできるのかと不安だった。だが、中身が何であるか全く分からないような包装であったため、ひとまず安心した。注文キットと共に、検査方法の書かれた説明書が入っていたため、読んでその通りやってみた。思いの外、簡単であっという間に検査は終了。検体を封筒に入れて、投函したら、結果は数日後に匿名で送られてきた。
クラミジアとは違うが、性感染症の一つである淋病において自己採取した場合、医師が検査を行った場合に劣らないという報告もある。どうしても病院を受診する時間がない女性や、病院になかなか行きにくいという方には、ぜひお勧めしたい。もちろん、女性だけでなく、男性も自宅で検査が可能だ。検査項目も、1項目から選択できる。男性は尿道にクラミジアが感染することから尿検査を、女性は排尿期間ではなく、子宮頸管から子宮、卵管に感染するため、腟分泌物を検体として採取する。性感染症検査をしたことがない人は、性感染症の代表的な原因を一度で検査できるようなセットを注文するのもいいだろう。
もはや「性教育が不十分だ」などと言っている場合ではない。性と向き合い、男女ともに性を正しく理解し、自分の身体を自分で守る必要があることを自分自身で理解する必要があるだろう。性感染症が原因の防げる不妊症が少しでも減ることを切に願っている。
○山本佳奈/医師
滋賀県出身。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院内科医、ナビタスクリニック非常勤内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)