子供の人口も減っていることから「野球人口の分母が小さくなっているせいで、野球というスポーツが響く層が少なくなっている」と南社長は分析する。

 徳島も昨季、1試合平均445人と、前年の1.3倍増の観客動員を集めたが「その年齢層が高い。何回も球場に足を運んで頂いている方が多い」と同社長は言う。「それ以外をどうするのか。県民全体をターゲットとして、ファン層をさらに広げないといけない」と強調する。

「インディゴソックスを『いろいろなところで見るな』という風に、まずは思わせたい」と南社長は語り、3人制バスケットに関して1試合分の徳島開催のマネジメント権を持っている今年は、まずどういった形で野球と“コラボ”させるかを検討している。

「世の中の影響という点では、まだ野球の方が強いでしょう。それでも、四国だからこその、3人制バスケとの新たな仕組みを造りたい。スポーツビジネスは普通、参入障壁が高い、敷居が高すぎる。そこを打開していきたいし、いろんなところとつながっていきたい」と坂口理事長はいう。

 地域の特性、人口分布、社会構造など、あらゆるファクターを見越し、将来をにらんだ新たな手を打っていく。野球とバスケットボールという、前代未聞のコラボレーションに乗り出した四国ILの新たなる経営戦略。それは、地域のプロスポーツが、将来の生き残りとさらなる発展をかけた“重要な一手”と言えそうだ。(文・喜瀬雅則)

●プロフィール
喜瀬雅則
1967年、神戸生まれの神戸育ち。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当22年。その間、阪神、近鉄、オリックス中日ソフトバンク、アマ野球の担当を歴任。産経夕刊の連載「独立リーグの現状」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。2016年1月、独立L高知のユニークな球団戦略を描いた初著書「牛を飼う球団」(小学館)出版。産経新聞社退社後の2017年8月からフリーのスポーツライターとして野球取材をメーンに活動中。