大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた第90回選抜高校野球 (c)朝日新聞社
大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた第90回選抜高校野球 (c)朝日新聞社
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 大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた第90回選抜高校野球。実際には機会がなかったものの、今大会からタイブレークが採用されるなど、あらゆる面で変化が起きていることは確かである。記念大会から見えた、現代高校野球の戦い方の変化について検証してみたいと思う。

 まず近年の傾向として見られているのが本格的に複数の投手の継投で戦うチームが増えていることだ。

 昨年夏の甲子園で優勝した花咲徳栄(埼玉)は決勝までの全6試合を綱脇慧(東北福祉大)、清水達也(中日)の継投で優勝を果たしたが、今大会はそれ以上に多くの投手を起用するチームが目立った。

 典型的だったのがベスト8に進出した創成館(長崎)だ。3試合全てで異なる先発投手を起用し、2回戦は2人、3回戦は3人、準々決勝は4人の投手で繋ぐというプロ野球を思わせるような継投を見せたのだ。

 これまでも2001年夏に準優勝した近江(滋賀)のように3人の投手の継投で勝ち上がったチームもあったが、先発投手も毎試合異なる例はなかった。ちなみに創成館の投手で1試合に最多の球数を投じたのは2回戦で先発した川原陸の98球。選手の将来を考えても理想的な起用でベスト8まで勝ち進んだと言えるだろう。

 また、ベスト4に進出した三重(三重)も4試合中3試合が完投だったものの、創成館と同じく2回戦から準々決勝の3試合で異なる先発投手を起用している。準優勝した2014年夏はエースの今井重太朗(中部大)に頼る部分が大きかったが、今大会はその反省を生かしてか力のある投手をしっかり揃えてきた印象を受けた。

 この流れは全体的にも言えることである。改めて10年前の80回大会、5年前の85回大会と今大会での投手起用に関するデータをまとめると以下のようになった(90回大会は準決勝までの数字)。

・起用投手数(延べ人数)
80回大会: 99人(1試合あたり両チーム合わせて2.75人)
85回大会:119人(1試合あたり両チーム合わせて3.84人)
90回大会:139人(1試合あたり両チーム合わせて4.09人)

・完投数
80回大会:52
85回大会:34
90回大会:24

・先発両投手が完投した試合数
80回大会:18
85回大会: 9
90回大会: 4

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数字で見ると変化は明らか