
今は、すっかり売れっ子の滝藤さんも、映画制作に関しては一つ希望がある。それは一本一本の作品にもっと時間をかけたいということ。
「できれば打ち合わせから参加したい。作品と長く付き合いたいです。そのほうがより深く役に関われますから。無理に感情を起こさなくても、相手役とのセッションに集中していれば、自然とその気持ちになれる気がします。俳優はあの一瞬に全て賭けますからね。俳優が生み出した最高のパフォーマンスを切り取るのが監督。僕は、監督は絶対無理ですが、もしも自分がやらせてもらう機会があったら、カメラアングルは全部カメラマンに任せて、俳優がいかに良いセッションができるかということに集中したいです。場合によっては、何日もかけて1シーンを撮りたい。今日気持ちが乗らなかったら、明日にしよう。今日はもう終わり!みたいな。無理か?(笑)。でも俳優は、その一回きりのプレッシャーと常に闘ってますから」

(菊地陽子、構成/長沢明)
※記事前編>>「滝藤賢一、踊らないドラァグクイーン役に自身重ね…46歳のピチピチではない悲哀」はコチラ
※週刊朝日 2023年1月6-13日合併号より抜粋