国内・海外の協力工場の技術力と、小売部門の品ぞろえを生かし、セミオーダーや既製品を組み合わせ、顧客の要望や予算に沿った提案力を強みとしている。大塚社長は、「コントラクトは、3倍の売り上げ約60億円(17年実績は20億円)に伸びる」と述べ、インバウンド需要や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた宿泊施設などのインフラ建設を見込む。
とはいえ、大塚家具の全体のビジネスに対するコントラクト部門の構成比は2017年で5%に満たず、18年が計画通りに事業拡大を実現しても13%程度で、業績を黒字にもっていくには力不足を否めない。市場関係者は「主力の店舗販売について、ニトリやIKEAに対抗できる成長戦略やビジョンを描けない限り、じり貧から抜け出すのは難しい」と話す。
ニトリとIKEAは、製造・販売の工程を一貫して自社で管理するSPA(製造小売業)を武器に、価格競争力やグローバル戦略でホーム家具市場のシェアを拡大している。「ニトリやIKEAの成長のあおりで、大塚家具のホーム家具がシェアを落としていることは否めない」(業界関係者)。
大塚社長は「おおむね売上高400億円の水準で安定してきていて、経費をどれだけ抑えれば黒字が可能かわかった」と話し、経費削減で黒字を確保できる自信を示すが、大塚社長の成長戦略に対する市場の評価は厳しい。
固定費削減について、大塚社長は「人員は自然減と補充抑制で減っている」と話し、大ナタをふるわずに、営業利益の黒字化を目指す意向だ。しかし、業界関係者によると、来店客数が増加している商業立地路面店も、まだ売り上げ増に結び付けられていない。新商品の投入や法人との提携販売の修復、自社の商品やサービスを独自運営のウェブサイトで販売するECサイトの本格展開、リワース(リユース)、レンタル強化など業績改善に向けた対策を急ぐが、いずれも大塚家具の経営体力を回復させるほど即効性が期待できるのもではないという。