父娘による経営権争奪という「お家騒動」以来、業績不振が続く大塚家具の失速が止まらない。大塚久美子社長は2月8日の決算説明会で、2018年12月期に黒字化を達成する強気の計画を示したが、客足離れに歯止めがかからない。2020年の東京五輪の重要をにらんだ法人部門強化という成長戦略を示した。だが、その後も株価はじりじりと下がるなど、市場関係者の不信感が払拭(ふっしょく)されたわけではない。
大塚家具の2017年12月期決算は、売上高が前年同期比11.3%減の410億円、営業損失は51億円で前期の45億円の赤字から拡大した。店舗規模の最適化を進めたことで事業構造改善引当金16億円の特別損失が発生し、当期純損失は72億円に膨らんだ。2015年12月期に約110億円あった現預金は、わずか2年で約18億円にまで減少した。
大塚久美子社長は「ブランドイメージが揺れ動いた」とし、2015年に噴出した父娘の「お家騒動」の悪影響を引きずっていることを認める。旗艦店の有明本社ショールームや大阪南港ショールームといった大型店で来店客数が下げ止まらない。また、まとめ買いから単品買いへの流れが加速したことや小商圏化、ネット販売(EC)の台頭などへの対応も遅れている。
経営陣は、店舗の賃料などの固定費の圧縮に乗り出している。有明本社と大阪南港の旗艦店をはじめ、横浜みなとみらいや、新宿、立川などの首都圏で売り場の減床を実施したほか、業務・資本提携先の貸し会議室大手、ティーケーピー(TKP)に売り場の一部を活用してもらうなどの方法で、賃料の圧縮を急ぐ。
大塚社長が営業黒字への回復の原動力として期待するのが、コントラクト(建装)部門の拡大だ。ホテルの客室やパブリックエリア、医療施設、福祉健康施設、企業の応接室・役員室、店舗など法人向けのビジネス。企画、設計・施工、家具の提案・製作などを一貫して手がける。