先月26日、選抜高校野球大会の出場校が発表された。今年は90回記念大会ということで例年より多い36校が出場するが、このような形で出場枠が多くなったのは20年前の第70回大会からであり、今回で3度目である。そこで今回は過去2回の記念大会で活躍した選手達の現在について紹介したいと思う。※所属は最終在籍チーム。
20年前の主役は言うまでもなく横浜高校の松坂大輔(中日)だ。5試合全てを一人で投げ抜き3完封。45回を投げて被安打22、44奪三振とまさに圧巻のピッチングだった。この年の横浜高校は松坂以外にも3人がプロ入りを果たしているが、現在も現役なのはG後藤武敏(DeNA)だけ。先頭打者として活躍した小池正晃(DeNA)は4年前からDeNAのコーチとなり、松坂とバッテリーを組んだ小山良男(中日)は2008年の現役引退後、ブルペン捕手、コーチを務めていたが今シーズンからはスカウトに転任することとなった。横浜高校に3回戦で敗れた東福岡もタレント揃いだった。エースは現在去就が注目されている村田修一で、大野隆治(ソフトバンク)とバッテリーを組み、ショートは一学年下の田中賢介(日本ハム)が守っていた。
大野はプロでは結果を残すことができなかったが、現在はホークスのジュニアコーチとして育成年代の指導に当たっている。長年レギュラーとして活躍してきた田中も昨年は大きく成績を落としたことでオフには大幅減俸となった。今年が勝負のシーズンとなりそうだ。他に現役でプレーしているのは日大藤沢のエースとしてベスト4に進出した館山昌平(ヤクルト)、創価で3番打者として出場した小谷野栄一(オリックス)だけで、松坂と決勝で投げ合った関大一の久保康友もいまだに去就が決まっていない。一時は中日が獲得かという報道もあったが、松坂を獲得したことでその可能性は低くなった。通算100勝まであと3勝に迫っているが、このまま引退という可能性も小さくないだろう。
その一方で先述した小池以外にも指導者として次の一歩を踏み出している選手は少なくない。敦賀気比で攻守に活躍した東出輝裕(広島)は2016年から打撃コーチとなり、チームの連覇に貢献。PL学園で横浜と死闘を繰り広げた平石洋介(楽天)も2012年からコーチとなり、2016年には35歳の若さで二軍監督に就任。若手の底上げと成績アップが評価され、今季からは一軍ヘッドコーチとなっている。また、報徳学園で松坂から2安打を放った鞘師智也(広島)は2011年から関西地区のスカウトに就任。新発田農で超高校級捕手として騒がれた加藤健(巨人)は昨年からBCリーグの地元球団である新潟アルビレックスBCの球団社長補佐に就任し、現場とは少し離れた位置から野球に携わっている。