■予防 高血圧の治療と禁煙が必須 家族に患者がいる人も要注意
動脈を流れる血液の圧力によって脳動脈瘤ができることからもわかるように、最大のリスク要因は高血圧です。
健康診断で高血圧といわれた人、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上ある人は、医師に相談しましょう。高血圧の治療薬は種類も増えており治療効果が期待できます。
喫煙も、くも膜下出血の大きなリスク要因です。たばこを吸うとニコチンで交感神経系が刺激され、血圧が上昇します。また、たばこに含まれる酸化物質によって血管が収縮し、動脈硬化が促進されます。
たばこには依存性があるため、なかなかやめられない人もいます。最近は禁煙外来のある病院もあるので一度、受診してみるとよいでしょう。
■外科治療 開頭術か脳血管内治療か 治療方法を検討する
脳動脈瘤の治療にはおもに二つの方法があります。一つは開頭しておこなう「ネッククリッピング術」という手術、もう一つはカテーテルを使った「コイル塞栓術」という脳血管内治療です。どちらの治療にするかは脳動脈瘤のある場所、大きさや形状、患者の状態などによって選択されます。二つの治療法にはそれぞれにメリット、デメリットがあります。
くも膜下出血の場合の治療法も基本的には同じですが、発症した時に搬送された病院によっては一方の治療法(ネッククリッピング術)しかない場合もあります。
ネッククリッピング術は全身麻酔をかけて頭蓋骨の一部を切り開き、手術用顕微鏡で確認しながら脳動脈瘤の入り口(ネック)に直接、クリップをかける方法です。チタン合金製のクリップで、形は直線型、L字型などの種類があります。ネックの大きさなどによって複数のクリップを組み合わせて使う場合もあります。
手術中には脳の神経や血管を傷つけないよう、術中モニタリングが欠かせません。脳に弱い電流を流して手足の動きを確認し、運動機能を傷つけないようにするMEP(運動誘発電位)や、患者の静脈に蛍光物質を注射し、近赤外線観察カメラで血流や脳動脈瘤の閉塞を観察するICG血管撮影を用います。