くも膜下出血は発症した人の約3割が死亡するといわれます。JACC Studyという調査研究によると、くも膜下出血による死亡者は年代では男性は40代、50代に多く、女性は60代以上が多いという傾向がみられます。
くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂以外の原因でも発症することがありますが、その割合は2割程度で、大半は脳動脈瘤の破裂によって起こります。また、動脈の分岐していない部分に脳動脈瘤ができることもあります。
昔は脳動脈瘤があっても破裂しない限り気づかなかったのですが、近年はMRI(磁気共鳴断層撮影)、MRA(磁気共鳴血管撮影)などの画像検査が一般化し、脳ドックの普及もあって直径2ミリ程度の小さな未破裂脳動脈瘤でも発見される割合が高まっています。
■症状 突然の激しい頭痛や意識障害 そのまま死亡することも
くも膜下出血を発症すると、突然経験したことのないような激しい頭痛に見舞われます。
「痛みを感じる知覚神経は、くも膜や血管の周辺にあります。高い圧力で噴出した血液による膜の伸展や血液中の化学物質が知覚神経を刺激するので、強い痛みを感じるのです」(兵頭医師)
頭痛以外にも気分が悪くなって嘔吐(おうと)したり、視野が欠けたり、ものが二重に見えることがあります。意識を失うことも多く、患者の5人に1人は発症後まもなく亡くなります。
破裂した脳動脈瘤の穴が小さければ出血後できた血の塊によってすぐに血は止まり、意識を回復することもありますが、強い頭痛や嘔吐は残ります。高齢者は痛みに鈍感になっている場合があり、この症状を風邪と思って見逃すことがあります。
「一度出血してできた血の塊が溶けると再び出血します。再出血を起こすと、くも膜下出血は重症化し、死に至ることもあり、命が助かっても重い後遺症を残すことが多いので、再出血を防がなくてはなりません。普段とは違う頭痛を感じたら、必ず救急車を呼んで病院にいきましょう」(同)