◯TIA・TIS(一過性脳虚血発作・症状一過性脳梗塞)
TIAではアテローム血栓性脳梗塞と同様に脳の血栓が詰まりますが、短時間で血栓が溶けて血流が再開するため、症状が消えてしまい、MRIの画像にも痕跡が残りません。脳梗塞の前兆ともいわれます。TISでは脳梗塞は画像上は残りますが、症状は一過性です。
「この段階で治療を開始できれば経過は良好ですが、残念ながら見逃されることが多いのです」
◯無症候性脳梗塞
本人に自覚症状はありませんが、CTやMRIなどの検査で発見される脳梗塞です。脳ドックなどでしばしば発見されます。ラクナ梗塞同様、細い動脈領域に起こることが多いです。再発リスクが高いので、発見された場合は高血圧の管理や適切な薬剤治療などが重要です。
■症状 手足の片麻痺や言葉の異常 意識を失うこともある
脳のどの部分が詰まったかによって症状は異なりますが、多くは手足や口に表れます。
手足の片麻痺(まひ)は脳の動脈が詰まった側とは反対側に起こります。たとえば脳の右側に梗塞が起こると、左側の手足がしびれたり、感覚がなくなったりします。
言語を司る脳の左側に梗塞が起こると、ろれつが回らない、言葉が出てこない、相手の言葉が理解できないなど、言語にかかわる症状が表れます。
心原性脳塞栓症の場合は、心臓から運ばれてきた大きな血栓が突然太い動脈に詰まるため、症状は激烈で、重症化しやすいです。意識を失うこともしばしばあります。
■予防 生活習慣の見直しが重要 心房細動や高血圧は治療を
「脳梗塞の予防で重要なことは原因となる生活習慣を改めることと、心房細動、高血圧、糖尿病などの持病(基礎疾患)がある人は適切に治療することです」
森田医師はそう話します。
生活習慣では、まず食事の見直しです。脂肪分の多い食事を控えめにする、暴飲暴食をしないなどを実行します。適度な運動を心がけましょう。たばこを吸っている人は禁煙が欠かせません。