諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した
諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した
この記事の写真をすべて見る
元SEALDs諏訪原健「赤ちゃんを議会に連れていくのは正しい決断と思う」(※写真はイメージ)
元SEALDs諏訪原健「赤ちゃんを議会に連れていくのは正しい決断と思う」(※写真はイメージ)

 緒方夕佳本市議が、議会に赤ちゃんを連れてきたことが大きな波乱を呼んでいる。彼女は赤ちゃんを連れての議会への出席や、託児所の設置を議会事務局に訴えてきたが、前向きな回答を得られなかったことで、今回の行動に至ったそうだ。それに対して議会の側は、議員以外の人間が議場に立ち入ることを問題視し、開会が40分遅れる事態となった。

 連日のニュースで流れてくる、議会事務局スタッフが緒方市議に詰め寄って説得を試みる映像は衝撃的だった。その映像には、子育てを個人、あるいは女性の問題としてきた、この社会の有り様があらわれているようで、怒りが込み上げてきた。

 だが、このニュースへの反応を見ていると、私のような反応を示した人ばかりではないようだ。市議会議員という一定の報酬をもらえる立場であれば、保育園やベビーシッターで対等できるはずだという意見や、問題提起の方法に対して疑義を呈する意見も少なくない。しかしこういった声は、子育てを個人の問題へと押し付けているだけで、何ら子育てをめぐる問題を前に進めることにはならないと思う。

 私自身は、緒方市議が赤ちゃんを議会に連れていくという選択をしたことは、政治家として正しい決断であったと思う。当事者以外の人間が勝手に決め付けるのは避けるべきだが、確かに彼女には、ベビーシッターを雇うなどの形で金銭的な資源を用いることで解決したり、夫や親族、友人などの人的な資源に頼って乗り切ったりという選択肢が残されていたのかもしれない。

次のページ