11月10日から6日間にわたり行われた第48回明治神宮野球大会。高校と大学の全国大会が同時に行われるのはこの大会だけであるが、未来のスター候補を見ようと連日多くの観客、プロ球団のスカウトが神宮球場に訪れた。そこでキラリと光るプレーを見せた選手をまずは高校の部から紹介する。
まず、最も多くの注目を集めたのが、入学前から140キロ台のスピードを誇るスーパー中学生として有名だった根尾昂(大阪桐蔭・2年・内野手兼投手)だ。新チームでは4番、ショート、そして投手と大きな役割を任されているが、秋の近畿大会では初戦と決勝で本塁打を放ち、準決勝では16奪三振完封と大車輪の活躍でチームの優勝に大きく貢献した。
今大会では2試合で5打数1安打に終わったが、投げては準決勝で高校の部最速となる146キロをマークし、4回7奪三振の好投を見せている。根尾の魅力は投打にわたり大きな才能を持っているところだ。全身を使ったフルスイング、軽快なフットワーク、そして鋭い腕の振りから繰り出すストレートとスライダー、そのいずれもが超高校級である。
一方で、もちろん課題もある。能力が高く守備位置が固定されないために、ひとつ一つのポジションの完成度が高くないのだ。投手としてはコントロール、ショートの守備では捕球とスローイングの精度に課題があり、創成館(長崎)に敗れた準決勝でも痛恨のタイムリーエラーを喫していた。バッティングも抜群のヘッドスピードを誇るが、芯でとらえる技術は高くない。溢れる才能をまだ制御しきれていないというのが現状である。
しかし、高校2年の段階で考えると、これだけのプレーを見せられる選手はそうはいない。プロ側がどこを高く評価し、どのような将来像を描くのかという点で今後も目が離せない選手である。
根尾以外では全体的に野手が目立った今大会だが、筆頭はやはり藤原恭大(大阪桐蔭・2年・外野手)になる。2年生ながら9月に行われたU-18ベースボールワールドカップの代表でも活躍した万能タイプの外野手だ。今大会では2試合で内野安打2本に終わり、守備でもらしくないエラーを見せたように調子の波があるのは課題だが、能力の高さは折り紙つきである。順調にいけば1位指名の可能性も高いだろう。