「でも、たまにインスタグラムに載せたい珍しいワインがあった時に、竹山さんをお店に誘うと、『確かに美味いけど、お前、なに人の金でインスタやってんだよ』って怒られちゃいますけど(笑)」

 2015年からワインの学校に通い始めたというひぐち君。

「仕事との兼ね合いがあるので、授業を全部受けられるか不安だったんですが、学校の方は時間の融通が利くということもあって、安心しました。あと、ワインの学校にはキャビンアテンダントさんも多く学びに来るという事を知って、最終的にはそっちが決め手ですかね(笑)」

 本格的にワイン道に突き進むべく学校に通いだしたひぐち君だが、なんと半年間の授業は全部時間割り通りにこなしたという。

「いや~、たまたま授業に全部、出れたんですよね、半年間、仕事がかぶらなくて。ほんと、たまたまですよ(笑)」

 照れ笑いを浮かべながら話すひぐち君だが、入学後からは猛勉強を始めた。

「1日8時間という猛勉強をしました。大学受験でもこんなにしたことないですから」

 その甲斐あって見事に一次試験の筆記試験に合格。その後、最終試験のテイスティングに挑戦することになる。

「テイスティング試験は、赤ワイン、白ワイン、その他のワインが各2種類ずつあり、それを全部当てないといけないんですけど、僕が受験した頃は一番種類が多くて、難しいと言われていた時期でした」

 そんな難関な目標をクリアするため、毎日仕事に行く前の朝と帰宅後の夕方に1日2回のテイスティングを行ない、相当の数のワインを舌に覚えさせたという。

「ワインエキスパートの合格率は30%くらいなんです。それを言うと3人に1人は受かるのかってよく言われますが、ワイン愛好家の中から3人に1人しか受からないんですよ。だから、実はかなりの狭き門なんですよ」

 そう胸を張るひぐち君はなんとストレートで合格。

 見事にワインエキスパートとしてワイン道を歩み始めたのだ。そして、取材当日、その胸に輝いていたのは、ワインエキスパートの合格者のみが、手にすることの出来る金バッチ。髭男爵としてのキャラクターにも、より一層ハクがついたようにも見える。しかし、そのバッチ、実は協会から与えられたものではなかったのだ。

次のページ