チームにとって何が必要なのか。足りないところはどこにあるのか。自分なら何ができるのか――。

 練習や試合の中でチームのウイークポイントをあぶり出し、自分のプレースタイルに照らし合わせてアピールポイントを確立する。そして、練習の中で実践し、監督にアピールを続けてきた。その結果、チームパフォーマンスは向上し、指揮官の信頼をつかんできたのである。

 象徴的なのが、岡崎入団1年目の2015‐16シーズンである。加入直後は「FWの4番手」。すると、「こういうプレーをする選手がいなかったから」と、4‐4‐2のセカンドストライカーの役割に価値を見出した。献身的な守備でチームを支えながら、最前線に陣取るジェイミー・バーディーをサポートする役目をこなしたのだ。1トップとしてゴールを量産したマインツ(ドイツ)時代とは役割が大きく変わったが、岡崎はプレミア開幕戦で先発の座を確保。このシーズンはレギュラーとして稼働し、「奇跡のリーグ優勝」に大きく貢献した。

 このセカンドストライカーの役割もラニエリが発案したというより、岡崎自身で編み出した「生き残るための術」だった。

 あれから2年の歳月が流れた今も、岡崎の「思考力」や「洞察力」、「しぶとさ」は変わっていない。そのときに何ができるか。限られた中でベストを尽くせるか。壁にぶつかっても、常に高みを目指そうとしている。

 実際、クロード・ピュエル新監督の初陣となったエバートン戦(10月29日)で再びベンチメンバーに降格した岡崎は、15分間だけの出番で試合を終えた後に次のように話している。

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