監督が交代しても、その都度評価を得てきた岡崎(写真:Getty Images)
監督が交代しても、その都度評価を得てきた岡崎(写真:Getty Images)

 レスター(イングランド)の岡崎慎司は、極めて粘り強い選手だ。2015年のレスター加入以来、度々レギュラーを外されてきたが、最終的には指揮官の信頼をつかんできたからだ。

 振り返ると、岡崎の獲得を決めたナイジェル・ピアソン監督は、背番号20の入団からわずか4日後に解任された。クラウディオ・ラニエリ監督が職を引き継いだが、就任当初は岡崎をレギュラー組と見ていなかった。しかし、プレシーズンマッチでアピールを続け、プレミア開幕戦でレギュラーの座をつかんだ。

 そのラニエリの在任2季目には、イスラム・スリマニらFWを複数獲得。シーズン中盤になると岡崎はベンチ組に降格したが、イタリア人監督が解任され、助監督だったクレイグ・シェイクスピアが指揮官に昇格すると、「原点回帰」を合言葉にシェイクスピアは岡崎を先発組に復帰させた。プレッシングサッカーに立ち返ったレスターは息を吹き返し、岡崎も中心選手として活躍。UEFAチャンピオンズリーグ・ベスト8進出に貢献した。

 そして、今シーズン。FWのケレチ・イヘアナチョを獲得したチームはまたしても路頭を彷徨う。シェイクスピアの人選にブレが出始めると、岡崎も不動のレギュラーから外れ、ベンチを温める試合が出始めた。チームは降格圏に沈み、クラブ首脳陣はシェイクスピアの解任を決定。助監督だったマイケル・アップルトンが暫定監督になると、再び岡崎をレギュラーに復帰させた。

 レギュラーの座をつかんでも、移籍期間になると新たなFWが加入し、岡崎はベンチ行きを命じられてきた。しかし、気がつけば先発に復帰し、チームで重宝されてきたのだ。その理由、粘り強さの秘訣は、いったいどこにあるのか――。

 岡崎のストロングポイントは、クロスボールにピンポイントで合わせる上手さ、絶え間なく走り回るハードワーク、積極的にゴール前へのトライを続けるフリーランなど多数あるが、筆者が注目しているのはピッチ外での「思考力」と「洞察力」である。

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