一方、DeNAの1番打者は桑原将志。こちらは柳田とは対照的に、シリーズ3試合でヒットなし。開幕前、アレックス・ラミレス監督が、シリーズのキーマンとして挙げていたのは、この桑原だった。今季初の全試合出場を果たした24歳の若武者は柳田とは逆に、3試合でホームベースすら踏んでいない。いまや“逆シリーズ男”になろうとしていた。

 しかし、柳田は止まった。これまでとは違うんだ。だから今度は、お前の番だ。そんなDeNAファンの“願い”が通じたのかもしれない。ソフトバンクの先発・和田毅の初球は138キロのストレート。果敢に打って出ると、放った打球はライトの前で弾んだ。今シリーズで、桑原が初めてスコアボードに灯した「H」のランプに、横浜スタジアムは柳田を止めた時以上に、大歓声が湧き起こった。

 先発の和田は130キロ台中盤のストレートながら、コーナーに変化球をびしびしと投げ分ける“巧技”が身上。14年前の2003年、阪神との日本シリーズ第7戦で完投勝利を収め、胴上げ投手にもなっている。その経験豊富なベテランは「いつもより飛ばした」。シーズン最後の戦いになるかもしれない。勝てるとなれば、総力戦で取りに行く。ならば、行けるところまで行き、リードする展開に持ち込み、後半は盤石のリリーフ陣に任せればいい。その計算があるからこそ、ビシビシと渾身の直球を投げ込んだ。

 1回、4番・筒香嘉智に対して、144キロの外角ストレートで見逃し三振、4回にも146キロのストレートで空振り三振と、力で筒香をねじ伏せ、4回まで無失点。しかし相手のルーキー左腕・浜口が、和田以上の快投を繰り広げた。

 浜口のチェンジアップに、ソフトバンク打線はタイミングが合わず、ヒットが出ないのだ。我慢比べの投手戦。先に屈したのは和田の方だった。5回、宮崎敏郎が左翼席へ2号先制ソロ。シリーズ4試合目で、DeNAに初めて先取点を許してしまった。すると、追い詰められていたはずのDeNA打線が、解き放たれたかのようにつながり始める。宮崎の本塁打に続き、ヒット2本と送りバントで1死二、三塁とすると、9番の倉本寿彦が右犠飛で2点目。結局、和田は5回2失点で、浜口よりも先にマウンドを降りることになった。

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