DeNA・浜口の快投は続き、なんと8回1死までノーヒット。代打の鶴岡慎也の右中間突破の二塁打で無安打こそ食い止めたものの、その後も得点はできずじまいで、結局2安打での完封負け。一方、DeNAは終盤にも得点を着実に重ね、12安打6得点。3連敗中は計6得点と沈黙が続いていた打線が、ここへ来てやっと目覚めたのだ。

 交流戦でも対決がなく、初対戦だったルーキーの浜口にまんまと捻られた工藤監督は「うまくやられちゃいましたね。予想通りのピッチャーというのもありましたけど、何ていうのかな、チェンジアップだったり、緩急についていくまでに、ちょっと時間がかかったかなという感じですね」。2年ぶりの日本一に王手をかけた一戦で、勢いをくじかれた格好になったが、柳田は「そんなうまいこと、いかないッスよ」。

 それでも3勝1敗。過去67度の日本シリーズで、3連勝で王手をかけた18度のうち、その後に4連敗でひっくり返されたのは3度だけ。過去のデータ上でも、決して慌てる必要もなく、ソフトバンクの優位さは変わらない。

 それでも、少しだけ気になる“傾向”が出ている。

 楽天と対戦したクライマックスシリーズのファイナルステージでは、初戦の塩見貴洋が6回1失点、2戦目の辛島航も5回3分の1で1失点、今シリーズでも、2戦目に対戦した今永昇太が6回1失点、そして4戦目の浜口は、8回途中までノーヒット。いずれも左腕に抑え込まれているのだ。

 DeNAの5戦目先発の予想は、左腕の石田健大。仮にこの試合も落とし、福岡に再び戻っての第6戦になれば、中5日で今永が先発する可能性も大。しかも、DeNAのような攻撃型チームは、勢いに一度乗せてしまうと、短期決戦だけに、取り返しがつかなくなる恐れもある。

「4つの中で1個とかではなく、きょう(第4戦)勝ちにはいったんですけど、相手に先制されて、うちに流れを持ってこれなかった。また対策を取って、しっかりとピッチャーに対して、動けるところは動いてやっていきますよ」

 仕切り直しの第5戦。もつれる前に、決着をつけてしまいたい―。工藤監督は、あくまで“横浜胴上げ”を狙いにいく腹づもりだ。(文・喜瀬雅則)

●プロフィール
喜瀬雅則
1967年、神戸生まれの神戸育ち。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当22年。その間、阪神、近鉄、オリックス中日、ソフトバンク、アマ野球の担当を歴任。産経夕刊の連載「独立リーグの現状」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。2016年1月、独立L高知のユニークな球団戦略を描いた初著書「牛を飼う球団」(小学館)出版。産経新聞社退社後の2017年8月からフリーのスポーツライターとして野球取材をメーンに活動中。

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