元禄太平記の思い出を語る中野良子さん(C)朝日新聞社
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若かりし頃の中野良子さん (C)朝日新聞社
若かりし頃の中野良子さん (C)朝日新聞社

 55年間もの長きにわたって大河ドラマが持続できた最大の要因は、文学史に残る著名な時代劇小説を精選し、それを土台に番組作りをしてきたからだ。

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 第一回「花の生涯」(舟橋聖一)、第二回「赤穂浪士」(大佛次郎)、第三回「太閤記」(吉川英治)、以下「源義経」(村上元三)、「竜馬がゆく」(司馬遼太郎)、「天と地と」(海音寺潮五郎)……タイトルと原作者名を上げていけば自ずと大河の制作姿勢がみえてくる。

 ところが1975(昭和50)年、13作目の「元禄太平記」でその流れに異変が起きる。経済学者でもある南條範夫に書き下ろしを依頼したことで、13年間貫いてきた“原作重視”の方針が覆ったのだ。「元禄太平記」は視聴率的に成功を収め(平均視聴率24.7%)、結果的に大河の原作選択の幅を広げたことになった。南條の起用について、本作でサード演出を務めた大原誠は自著「NHK大河ドラマの歳月」で次のように語っている。

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