刃傷事件の原因を塩田にまつわる確執に求める「忠臣蔵=塩田説」は堺屋太一原作の「峠の群像」(1982年)で広く知られるようになったが、「元禄太平記」がそれに先行していたのだ。
その「元禄太平記」の見所は、五代将軍綱吉(芦田伸介)に抜擢されて出世する柳沢吉保(石坂浩二)と武士の鑑といわれる大石内蔵助(江守徹)の運命的な対決だ。綱吉に寵愛された右衛門佐局(うえもんのすけつぼね)を演じた中野良子さんは次のように回想している。
「『元禄太平記』で思い出すのは、スタッフが素晴らしかったということですね。何十人いたのか正確にはわかりませんが、全員が理路整然とふるまっていてとても気持ちのいい現場でした。
私は『国盗り物語』と『天下御免』でNHKの時代劇を体験していましたが、このお話をいただいたとき一年の長丁場を乗り切るために頑張ろうと思いました」
デビューのころから時代劇にも多く出演していた中野さんだが、側室の役は初めてだった。