(イラスト/松元まり子)
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「やすらぎの郷」ほどドラマチックではないけれど、今日も全国の高齢者ホームで起きている日常生活のあんなことや、こんなこと。発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018」では、そんなリアルなプチ事件簿をプロファイリング。とっても平和な高齢者ホームの24時間をリポートする。

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「同じ名字の入居者の方がいると思ったら、実はご夫婦。二人とも介護を受けていない自立なのに、ツーショットも見たことない」

 80代の母親が、高齢者ホームに入居しているA子さんはそう話す。月に数回は母の部屋を訪ねるため、ホーム内の人間関係にはけっこう詳しいが、そのご夫婦は場所も離れた単身部屋にそれぞれ入居。食事のテーブルも、はるかに遠い。

 おまけにそれぞれに仲のいい異性のお仲間もいて、シングルオーラがバンバン。よもや二人がご夫婦とは、しばらく思いもしなかったという。その後、ご夫婦の妻に聞くと、 こんな答えが。

「ラクをさせてもらおうとホームに入ったのに、夫の面倒を見るなんてイヤ。用がなければ話すこともない。『寝るときくらいは一人でゆっくり』という夫婦別寝の延長ですよ。それが、『人生の最後くらいは、一人でゆっくり』になっただけ」

 たしかに高齢者ホームは単身部屋が中心のところが多い。夫婦部屋があるホームは珍しいため、それが募集の売りになることもあるほど。なかには夫婦で介護レベルが違うため、泣く泣く別室というケースもあるが、このご夫婦のようにあえてホーム内別居コースを選ぶケースも、決してレアではないと見た。

 ところでこの「人生の最後くらいは……」という魔法の言葉が、ときに入居者たちを、びっくりするほど大胆にすることも。とくに舞台となりやすいのが、ホーム内恋愛だ。

 年代を問わず、男女が毎日生活を共にしていれば、恋に落ちるカップルも出てくる。さらには、いわゆる「一線」を越え、「毎夜の“夜這い”を豪語する男性入居者もいる」(高齢者の性問題を取材した週刊誌記者)。

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