代表経験の豊富な清武弘嗣がけがから復帰すればある程度は解決される部分もあるが、ここからよりセットプレーを想定した選考が行われてもおかしくはない。先にあげた扇原は左のキッカーになりうるが、鹿島アントラーズの永木亮太が再評価される可能性もある。
ガンバ大阪戦で後半アディショナルタイムに植田直通の決勝弾をアシストしたが、キックが正確であるだけでなく、狙いを持って蹴り分けられるセンスは特筆に値する。中盤の守備的な役割をしっかりと担いながら、セットプレーではキッカーとしてゴールをお膳立てもできる。23人という本大会のメンバー枠を考えても有効性は高いだろう。
2年前の東アジアカップで初招集されたヴィッセル神戸の藤田直之は、正確なキックに加えてロングスローという武器もある。実際、アルジェリア代表監督時代のハリルホジッチ監督は、ファウジ・グラムというサイドバックを予選の途中で抜擢した。彼のロングスローはアルジェリアの強力な武器になった。ちなみに、当時は無名だったグラムも、今ではナポリの主力として活躍し、多くのビッグクラブから狙われる存在になっている。
ほかにも、アルジェリア代表では、本大会の直前に、19歳のナビル・ベンタレブや、当時はイングランド2部だったレスターの新人選手だったリヤド・マフレズを招集し、周囲の批判をあびながらもW杯ベスト16に導いた。そして、彼らのクラブでの活躍は周知の通り。ここから呼ばれる新戦力がロシアで日本代表の大きな力となり、選手個人としてもステップアップにつなげられるかもしれない。いろいろな意味でここからのメンバー選考に注目だ。(文・河治良幸)