仲代さんの果敢なチャレンジ精神は40年後の2012(平成24)年の大河ドラマ「平清盛」で清盛を演じた松山ケンイチに受け継がれ、彼も断髪して役に挑んだ。仲代さんは「松山君の清盛は新鮮でとてもよかったですよ」と評価する。
混迷極まる政治、相次ぐ災害。そして戦争から滅亡へ……。「新・平家物語」は日本がそんな歴史的転換を迎えた平安から鎌倉時代への動乱の10年間を描いている。
仲代さんがいま取り組んでいるベルトルド・ブレヒトの「肝っ玉おっ母と子供たち」(10月14日より能登演劇堂)も、長く果てしなく続く戦争のなか、おんな手一つで育てた子供を喪う母親の哀しみを描いた救いのない反戦劇だ。
最近の右傾化に危惧感を感じているという仲代さんは、「『新・平家物語』も『肝っ玉おっ母と子供たち』もともに、『戦争の本質』について考えるかっこうの題材です。戦争で手酷い体験をした世代のひとりとして、若い人がこうした作品にできるだけ多く接して歴史と戦争について学んでほしいと思います」と結んだ。(植草信和)