最悪の展開を常に頭に置いておく。そのときにどんな対応ができるか、できるだけ早めに見通しを立てるようにする。他人事のように突き放した視線は、病気と闘ううえでも欠かせない。

 もっとも、痛みが増し、体がつらくなれば、そんなものはすべて飲み込まれてしまう。それがこの間に学んだことだ。だからよけいに、できるときにやっておこうと心がける。

■行動の奥底にある人間のもろさ

 外出を試みた帰り道。急にぐったりしたとき、隣に配偶者がいれば、左肩に右手を置かせてもらうことにしている。家に着くまでのわずかな時間、それを支えに重い足を運んでいく。

 私にとって、そんな日々から削り出したコラムを読んでもらうのは、このときの感じに似ている。配信されるたびに、フェイスブックでの共有数は百数十人から数百人に上る。数千人ということもあった。お会いしたこともない一人一人の顔を数字の向こうに思い描いては、1人で歩いているのではないと思い、手を伸ばせば誰かがいるような気がして、ほっとする。

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