そこにゴールドのシンプルなフープピアスを合わせて、よりエレガントに。実際に試着してみて麗華さんは、
「こんな服、私にも着られるんですね。いつもならスルーしちゃうワンピです。でも、赤い口紅のおかげかな、このワンピが一番自信が持てるような気がします」
そのあと、私たちは同じCタイプでワンピース以外のセットを探しに行きました。これまでシンプルな服を着たことがなかった麗華さんにとって、“過度に飾らない”ということは、ある意味チャレンジでした。
2着目に選んだのは、「Demi-Luxe BEAMS」のライトグレーのツインニットと裾にさりげなく切り替えしのフリルがデザインされたタイトスカート。どちらも上質な生地で仕立てられていて、シンプルながらきちんと主張のあるデザインです。そこに永遠の美を思わせるパールの2連ネックレスを合わせます。初めは、
「柄もなくて、こんな地味な色、私に似合うかな」
と不安げだった麗華さんですが、全身を鏡に映すとすぐに“女優なりきりスイッチ”を押してくれました。
ベーシックなツインニットは王道のアイテムで、昔から定番のデザイン。そしてタイトスカートは麗華さんの好きなフリルが裾にゆるやかにあしらわれ、大人フェミニンを演出してくれます。スタート地点に立つ新しい麗華さんを陰で支えてほしいという思いを込めました。これまで柄やレースに頼ってばかりだった彼女も、こういうシンプル服を着たことで新たな装いの意識が芽生えたようでした。
「しぎはらさん、こんなエレガントなフリルがあるんですね。私……この服を着られるような気持ちになってきました」
そう言うと、今まで履いたことのなかった細みのヒールのブーティーに足を入れながら、強い眼差しを向けてくれました。
■これからの自分を導いてくれる潔さ
しぎはら:いろんなパターンの服を着て疲れたんじゃない(笑)。どうだったかしら?
麗華さん:はい。自分で似合うって信じてきたパステルカラーの柄物がなんだか貧相に見えて、それがとにかく衝撃でしたね。今なら友達が言ってた意味もわかります。
しぎはら:そうよね。こうなりたいっていう意思を込めて大人メイクをしたから、やっぱり今までの柄のパステルカラーは合わなかったのよね。
麗華さん:はい。キャリア服のほうは強すぎて男っぽい感じがしちゃって。そういう姿に憧れていたのもあるけど、背伸びしすぎて無理があるっていうか。
しぎはら:そうね。強ければいいって問題でもないのよね。仕事で勝負をかけたい時には必要かもしれないけれど、男性との出会いを意識した時にはそこに、ひとさじ女らしさを加えるべきだと思うわ。
最後に選んだクラシカルなものって、ベーシック=これ以上いじりようのない完成されているものなの。昔からあって、今も、そしてこれからもそう。だから、ゆるぎない永遠の美しさを表現できると思うの。今の麗華さんの場合、こういうシンプルな装いを選んだほうが自分というものが際立っていいと思うわ。
麗華さん:はい、今日を機に変われそうな気がします。
私は麗華さんの言葉に嘘はないと思いました。やはり、人からとやかく言われるよりも、身をもって自身で実感すること。変わるにはこれが一番大事です。今回のスタイリングで覚えた“違和感”を忘れずに、意思のある女性へと成長してほしいと思います。