【誤解その6】死亡時から24時間を過ぎたら、警察に届けなければならない?
在宅での「看取り」が多くなり、この「誤解」がクローズアップされるようになりました。医師法の「20条」と「21条」の混同による混乱です。死亡して24時間以上たっていても、医師の死亡診断書があれば、警察に届ける必要はありません。
ただし、これには普段から診ている医師の存在が必要です。診療を継続している患者が、生前に診察していた病気で死亡したと判断した場合、かかりつけ医は死亡診断書を書くことができる、ということです。普段から診ている医師でないと、こうした判断はできませんから、かかりつけ医の存在というのは大切です。
自宅で療養している場合、看取りが迫っても在宅医の訪問は週数回、しかも臨終の場に医師がいない、というのはよくあること。あわてて救急車を呼んでしまったときも、かかりつけ医に連絡すれば、医師が搬送先の病院と連絡を取り、死亡診断書を書くことができます。
【誤解その7】自宅では終末期の対応は困難?
入院中は激しい痛みを訴えていた人が、住み慣れた自宅に戻っただけで、痛みが軽くなったという話をよく聞きます。病院での医療の目的は「治療」ですが、在宅での医療の目的は、からだや心の痛みをやわらげ、療養生活を快適にする「ケア」ですから、人生の最終章の段階にある人にとっては、病院よりも自宅のほうが「向いている」と言えるかもしれません。
人生の終わりが近づくと、活動は不活発になり、寝ている時間が多くなりますが、それでも家族の負担はあります。休日や夜間にも随時対応してくれる介護サービスや、24時間対応の在宅医療・訪問看護サービスなどを上手に組み合わせ、負担を減らしてください。がんの痛みについても、自宅でも適切な緩和ケアができる時代になりました。(文/中澤まゆみ)
※AERA dot.「お金がかかる、おひとりさまでは無理…は思い込み? 在宅医療7つの誤解」(2015/7/16掲載)より再編集