外は蒸し暑い七夕の夜。しかし、リンクの上には既に五輪が行われる冬を見据えるスケーターの熱気が漂っていた。
7日からフィギュアスケート日本代表エキシビション「ドリーム・オン・アイス」が行われ、平昌五輪を前に、五輪代表候補の選手が次々と新プログラムを披露した。昨季の世界選手権で銀メダルを獲得し、平昌五輪のメダリスト候補として今季を迎える宇野昌磨は、ショートプログラム「冬(ビバルディの四季より)」を滑った。既に別のアイスショーで披露しているが、その時よりも完成度が上がっており、貫禄すら漂う出来栄えだった。
宇野本人は「ぎこちなさが少しスムーズになってきて、ここからは自分の持ち味を出せていけたらなと思います」と振り返った。ジャンプについては冒頭4回転フリップも決めたが、本人は「運良く跳べた」と冷静で、4回転トゥループにセカンドジャンプがつけられなかったことに言及した。
「それ以上に少し最近トゥループが良くないので、そちらの方が心配だった。本来ならばコンビネーションにしなければいけないジャンプ。あの4回転トゥループではジャンプはつけられない。ジャンプでいうと、そこが課題ですね」
宇野はフリーで一昨季使用した「トゥーランドット」を再度滑るが、現在はアイスショーで滑るショートの練習を優先しているという。
二季連続で世界ジュニア選手権の表彰台に上り、今季シニアデビューする本田真凜もフリーに「トゥーランドット」を選んでおり、この日は初披露となった。トリノ五輪で荒川静香さんが滑って金メダルを獲得した曲でもあり、今季滑ることを告げた本田に荒川さんは「すごく楽しみ」と答えたという。
荒川さんがトリノで鮮烈な印象を残したイナバウアーも取り入れた本田の「トゥーランドット」は、スケール感が大きい圧倒的な出来栄えだった。本田によれば、他の選手からもほめられたということで、シニアデビューにふさわしい、大きな進化を促すプログラムと言えそうだ。本田自身「作ったばかりなんですけど、手応えをすごく感じている」と自信を持って滑っている。