■小池国政新党の正体とは

 小池氏が、他に「改革政党」がないため、今後の衆院選、参院選で「改革政党」として大きな力を得るとどうなるのか。国民は、真の改革政党として、小池新党を熱狂的に支援するかもしれないが、前述した通り、小池氏は改革派というよりもタカ派である。東京都政では、自治体だからその部分は封印されるが、国政になれば、改革vs.守旧という対立軸だけではなく、タカ派vs.ハト派という対立軸が現れる。政党の立ち位置をどこに置くかをこの2軸で切れば、4つの位置に分かれる。(1)改革タカ派、(2)守旧タカ派、(3)守旧ハト派、(4)改革ハト派である。(図参照)

 自民は(3)守旧タカ派、維新は(1)改革タカ派に(2)守旧タカ派が混ざっている。民進は(1)(2)(3)が多く、ごく少数ながら(4)もいる。俗に言われるとおり「バラバラ」だ。小池新党はどの立ち位置を取るか予想すれば、(1)改革タカ派だろう。つまり、維新と大差ない立ち位置になる。

 この分布をみれば、自民党の支持率が急落した時でも、他の野党の支持率が上がらず、無党派層が拡大したのは、実は(4)の改革ハト派の政党が存在しないことが最大の理由であるということに気づく。

 今後、今回の都議選のように、国政でも自民の支持率が下がって選挙で大きく議席を減らす場合、既存の野党ではなく、小池新党が「改革政党」として、議席を伸ばすことになるだろう。それは、一般有権者には、今のところ、小池新党の立ち位置が(1)改革タカ派なのか(4)改革ハト派なのかがわからないからだ。

 おそらく、小池新党が国政での活動を始めてしばらく経ってから、有権者は、小池新党が(1)改革タカ派であることを知り、(4)改革ハト派の有権者が落胆するということが起きるのではないか。

 つまり、改革派勢力は増えても過半には届かず、一方、タカ派勢力は、自民減少分を小池新党が補うことで引き続き衆参両院で3分の2を維持するという状況を見て、愕然とするわけである。

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