私が霞が関で規制改革や公務員改革などに携わってきた経験では、小池氏を「改革派」として認めている官僚は極めて少ないというのが実情だ。改革派と言われる官僚たちは、改革のために体を張って頑張ってくれる数少ない自民党議員をよく知っている。彼らの元へ、密かに大胆な改革案を持参して、その活動を支援するのだが、私は小池氏の元へこうした意味での「ご説明」に行った記憶がほとんどない。

 では、霞が関「改革派」官僚の間で彼女はどう見られていたかと言うと、ほとんど存在感がなかったが、パフォーマンスがうまい政治家という評価ではないかと思う。そして、彼女の最大の特色は、バリバリの「右翼」というイメージだ。この点はほぼ異論が出ないと思う。第1次安倍内閣で防衛相に抜擢されたりしたが、どちらかと言えば、その右翼的思想で安倍氏と結びつき、時に人寄せパンダとして使われたという印象だ。

 雑誌の対談で、核武装も選択肢として議論すべきという趣旨の発言をしたことでも有名だったから、そういうイメージになったのかもしれない。

 一方、過去にそういう人だったから小池氏が改革をできないということにはならない。特に、これだけ「改革」の旗を大きく掲げた以上、小池氏は、「改革」の実績を出さない訳にはいかない立場に立たされている。改革しなければ自殺行為にもなりかねない。その意味で、今の小池氏に「改革」を期待することは、あながち間違いではないだろう。

 ただし、これから小池氏が改革を実行しているかどうかを見る場合、注意すべき点が一つある。それは、小池氏のパフォーマンスに惑わされないということだ。

 特に、小池氏は、これまで、「自民党叩き=改革」という先入観を都民に植え付けることに成功している。したがって、具体的成果が出なくても、自民党が嫌がることをして、それに自民党が抵抗しているさまを見せるだけで、都民は小池氏が「改革」のために戦っていると勘違いする可能性があるし、おそらく、小池氏は、常にその手法を取ると思われる。小池都政のパフォーマンスを見るうえで、この点には注意が必要だ。

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