シリア戦で代表復帰を果たした乾貴士。今後も“パズルの組み替え”は起こりそうだ。(写真:Getty Images)
シリア戦で代表復帰を果たした乾貴士。今後も“パズルの組み替え”は起こりそうだ。(写真:Getty Images)

 “仮想イラク”のテストマッチとして位置付けられたシリア戦は1-1の引き分け。ホームの代表戦として結果は物足りないが、後半には怪我から復帰した今野泰幸が復調、さらに乾貴士や井手口陽介の投入も効果を発揮し、香川真司がアクシデントで退いた中盤で、途中から本田圭佑が強い存在感を発揮するなど、収穫は少なくなかった。

 その中でも2年2カ月ぶりの招集だった乾が後半の途中出場ながら、高度な技術と優れた攻撃ビジョンで主役級の輝きを見せた。乾はハリルホジッチが監督に就任した直後のメンバーに選ばれているが、その時は協会スタッフ主導で選手がリストアップされたとも言われており、それ以降のハリルホジッチが直接選考したメンバーには選ばれてこなかった。

 もっとも本格的に“乾待望論”が起こったのは彼がスペインのエイバルで2016‐17シーズンの途中から主力に定着し、活躍し始めてから。昨年11月にはFWの大迫勇也が1年5カ月ぶりの復帰、久保裕也がA代表デビューを果たすなど、別の新戦力が組み込まれたタイミングでもあった。

 乾が今年3月のUAE戦とタイ戦のメンバーに入らなかったことに疑問の声も少なくなかったが、2年ぶりに復帰した今野がセンセーショナルな活躍でUAE戦の勝利をもたらした。そして親善試合のシリア戦から最終予選のイラク戦に向かう今回のメンバーに乾が選ばれたわけだ。

 代表チームはパズルのピースをはめていく作業に似ている。親善試合や予選を戦いながら、来る本大会に向けて“最終メンバー”というパズルを完成させるのだ。

 日本代表を率いるハリルホジッチ監督は、一度ベースになるピースを組み立てたところから、段階的にピースを組み替えて完成型を目指すタイプであり、2014年のブラジルW杯でベスト16に進出したアルジェリア代表でも、約3年の在任期間でアフリカ予選中に主力選手の変更があり、予選後も本大会までに段階的な入れ替えをして本大会仕様のチームを完成させた。

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