3年半すごしたスイスのヤングボーイズからベルギーのヘントに移籍して以降、すでに9得点をあげている久保裕也。4‐3で敗れた5月7日のオーステンデ戦で折り返しのパスに合わせる形でゴールを奪った久保は上位6クラブの優勝プレーオフが続く中で、ここ5試合4得点とエース級の活躍を見せている。
スイスのヤングボーイズ時代と合わせ、今季すでに公式戦21得点をあげている久保だが、新天地のベルギーでは新たな進化が見て取れる。現在のUEFAランキングでベルギーは6位、いわゆる“5大リーグ”にも肉薄するポジションにいる。一方のスイスは20位で、ポルトガルやオランダはもちろん、同世代のライバルである南野拓実のザルツブルクが在籍するオーストリアの12位よりかなり下がる位置付けだ。
UEFAランキングはチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの予選と本戦による成績をポイント化しているもので、リーグ全体のレベルを統計的に反映しているわけではない。ただ、久保の移籍が報じられた時は本当にステップアップなのか懐疑的な声も聞かれたが、一般的に日本のサッカーファンがイメージする以上にベルギーリーグのレベルが高いということはUEFAランキングから一目瞭然だ。
もちろん、スイスも決してレベルは低くないが、プレースペースやフィジカルコンタクトの部分でベルギーの方が厳しく、それは久保も実感している様だ。その中で久保が強く意識しているのが、個人で仕掛けられるところはしっかり勝負していくこと。3月の代表戦に合流した時は「ヤングボーイズとヘントじゃスタイルも違いますし、僕に求められることも違うので、うまく言えないですけど今の方がフィットしている」と語っていた。
その要因は久保がほしいタイミング、近い距離で味方からパスが出てくること。ヤングボーイズではサイドハーフのポジションが多かったこともあるが、長い距離をオフザボールで飛び込んでいくシーンが多かった。そこからスルーパスやクロスに点で合わせるか、セカンドボールを狙うのが基本になっていたが、ヘントでは味方と近い距離でボールを受け、自分から仕掛けてゴールを狙うシーンが増えている。