春は足早に通り過ぎ、早くも初夏の風に揺れている。その間、最もペナントレースを沸かせた男は誰か?3月31日から4月30日までの約1カ月の戦いの中でのパ・リーグ“月間MVP”を予想してみた。
【パ・リーグ投手部門】
金子千尋(オリックス)
パ・リーグでは開幕から楽天が首位を快走して話題を集めているが、その背中を2ゲーム差で追っているオリックスの躍進ぶりも目が離せない。そして、4月終了時点でのチームの貯金7(15勝8敗)のうち4つを稼いでいるのが、エースの金子千尋だ。
開幕戦でのシーズン初登板こそ5回4失点(自責2)で勝敗つかなかったが、2戦目となった4月7日の日本ハム戦(ほっと神戸)で6回を5安打2失点(自責1)にまとめて今季初勝利を飾ると、3戦目の同14日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)では9回2安打無失点、わずか92球の圧巻の投球で無四球完封勝利を挙げた。
その後もエンジン全開。4月20日の日本ハム戦(東京ドーム)で8回1安打1失点。同26日の西武戦(京セラドーム大阪)では9回4安打3失点での完投勝利。4月までに5試合に先発して、無傷の4勝0敗で防御率1.70の好成績を残した。
2014年に16勝5敗、防御率1.98の成績を残して沢村賞を受賞した右腕にとっては復活のシーズン。右肘の手術以降、2015年、2016年と2年連続で7勝に終わった悔しさを晴らすべく、ロケットスタートを切った。
【パ・リーグ打者部門】
茂木栄五郎(楽天)
4月終了時点で16勝5敗と早くも2ケタの貯金を蓄えた楽天。その戦いの中で目立つのが、チーム打率.281を誇る攻撃力だ。その打線を、プロ2年目の茂木栄五郎が文字通り先頭に立って引っ張っている。
ドラフト3位で入団した昨季もレギュラーとして活躍して打率.278、7本塁打、40打点をマークした左の強打者。1年目は季節ごとに打順を変えて4番と9番以外すべての打順を経験したが、2年目の今季は開幕から不動の「1番・ショート」として出場。2番に座るペゲーロが爆発中だが、茂木も持ち前の積極性を武器に4月終了時点で打率.318、5本塁打、14打点をマークして存在感を発揮している。
昨季からの進化で言えば、パンチ力に磨きがかかったこと。出塁率.426、得点圏打率.333とチャンスメークとポイントゲッターの両方の役目を存分に果たすとともに、4月9日のロッテ戦(ZOZOマリン)では唐川侑己から、同19日の西武戦(メットライフ)では多和田真三郎から先頭打者アーチを放った。1シーズンの初回先頭打者本塁打の日本記録は2007年に高橋由伸(巨人)が記録した9本。このまま1カ月2本ペースを継続できれば、との期待も抱いてしまう。