「高いレベルの競争がある」と2節の北海道コンサドーレ札幌戦でゴールを決めた富樫が語るように、チーム内にいい意味での緊張感がある。

 そして「2試合で勝ち点1」とスタートは鈍いサガン鳥栖、サンフレッチェ広島だが、主力が揃ってくれば浮上してくるはずだ。

 昨シーズン、鳥栖は戦術的に成長。イタリア人指揮官、マッシモ・フィッカデンティは守備のディテールにこだわってきた。攻撃を向上させる段階。鎌田大地は世界に打って出る素養を持っている。豊田陽平は高さ、強さ、駆け引きで異彩を放つ。

 広島は守備が安定し、大崩れはない。「いい守備はいい攻撃を作る」というのは定石。青山敏弘、ミキッチ、フェリペ・シウバらパスの供給源は多く、開幕戦で得点を決めたFW工藤壮人がゴール量産体制に入っても不思議ではない。

 序盤5試合で波に乗れるか。それはリーグ戦を戦う大事な要素と言える。しかし、タイトル争いは最後の5試合。そこまでどんなレースが繰り広げられるのか、目が離せない。

小宮良之
1972年生まれ。スポーツライター。01~06年までバルセロナを拠点に活動、帰国後は戦うアスリートの実像に迫る。代表作に「導かれし者」(角川文庫)、「アンチ・ドロップアウト」3部作(集英社)、「おれは最後に笑う」(東邦出版)など。3月下旬に「選ばれし者への挑戦状」(東邦出版)を刊行予定

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