大一番でバルサの命運を握るメッシ(写真:Getty Images)
大一番でバルサの命運を握るメッシ(写真:Getty Images)
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「バルサに来て、一番驚いたことがある。メッシやイニエスタのようなあらゆるタイトルを勝ち取った選手たちが、無心でトレーニングをしていたんだ。僕はこんなチームでプレーできることを誇りに思うよ」

 FCバルセロナのFWルイス・スアレスは言うが、勝利に飽きない、それが王者の条件なのだろう。

 欧州フットボールの覇者を決めるUEFAチャンピオンズリーグが、いよいよラウンド16の戦いを迎える。グループリーグを勝ち残ったチームはどこも強豪ばかり。わずかな気の緩みが命取りになる。

 なかでも一番注目されるカードは、スター選手が多く集うパリSG対バルサではないだろうか。 パリのウナイ・エメリ監督は欧州にその名が轟く策士だ。セビージャをヨーロッパリーグ3連覇に導いた手腕を買われ、パリを率いるが、バルサのことは知り尽くしている(昨季はホームで2-1と勝利)。

「パスの流れを分断し、リズムを壊す」

 守備戦術の達人、エメリはバルサのパスの出所を抑え、ボールの流れを淀ませる。罠をかける相手はネイマールだろうか。今季のネイマールは持ちすぎてイライラを募らせ、ボールを失う回数が多い(27試合でチーム最多715回のボールロスト)。ブラジル人FWを端緒に綻びを作ってカウンターに成功した場合、前線には今季リーグアン得点ランクトップ(2月13日現在)のエディソン・カバーニという大砲を擁する。

 一方、バルサはリオネル・メッシ、ルイス・スアレスというタレントが力を出し切ったら、負けることはない。いかにエメリが対策を立てようと、メッシが本調子ならどうにも止められないだろう。

 もっとも、不安はある。守りの要、ハビエル・マスチェラーノは故障でファーストレグに間に合わない。また、アンドレス・イニエスタ、セルジ・ブスケッツ、ジェラール・ピケの3人が故障を引きずったままプレーしている現状。彼らをベンチに置かざるを得ない場合、不測の事態も起こりえる。バルサはたとえ負けても、MSNが無得点という可能性は低く、アウェーゴールで打撃を与えられそうだが・・・。

 もう一つ見逃せないカードが、レアル・マドリー対ナポリだろう。 昨季の王者マドリーは右サイドに不安を抱える。ダニエル・カルバハル、ダニーロがどちらも万全でないが、もし後者が先発した場合は懸案材料になる。直近のオサスナ戦でも、ミスパスで背後をとられて失点。また、左サイドのマルセロについても、ナポリの右サイドFWカジェホンは元マドリーで、守りの弱さを心得ているだろう。ジネディーヌ・ジダン監督は3バックを用い、てこ入れに必死だが、チーム状態は低迷したままだ。

「我々はピッチに立ったら、ただ勝利するのみ」そう語るジダンは、王者の精神を貫けるか。(文=スポーツライター・小宮良之)