2年連続でノーベル医学生理学賞の受賞者を出した日本。では、実際に研究に強い大学はどこか。アエラムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる』では、基礎研究を支援する「科研費」データから、医学研究に強い大学を探った。
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医師を養成する機関として、大学医学部はどこも同じようなカリキュラム、教育内容が整備されている。受験生はそう思われるだろう。そのとおりだが、大学によっては特に強い分野を持っているところがある。しかも、それが世界の最先端の研究だったりする。
その大学がもっとも強い分野については、科研費(科学研究費補助金)の獲得状況から知ることができる。
科研費とは、人文・社会科学から自然科学まで学問研究の全分野について、基礎から応用までのあらゆる独創的、先駆的な学術研究を対象とする競争的資金である。審査するのは、その専門分野に近い複数の研究者だ。
つまり、分野ごとに科研費を多く獲得した大学が、その分野の研究が優れているとみることができる。そこで本誌では、これを医学分野にしぼって、さらに細かく分けてランク付けを行ってみた(以下、文部科学省調査を参照。2010年度から14年度までの5年間分の分野別採択件数を累計)。
科研費ランキングの医学領域の各分野でトップに立つのは、東京大、大阪大など伝統校だ。翻って、地方の国立大学、公立大学が健闘している分野もある。キラリと光るこれらの大学を紹介しよう。
■世界を牽引していく日本の新生児医療
まず、胎児・新生児医学分野では香川大がトップに立つ。
香川大医学部の前身は、1978年に開学した香川医科大。このとき小児科学講座を開設し、初代の指導教授、大西鐘壽(しょうじゅ)さんが長い間、熱心に教育、研究を行ってきた。大西さんは若手研究者に「オリジナリティーを大事にしなさい」と言い続けてきた。こうした教えが今日の研究成果となって示されたと言えよう。
香川大医学部小児科学講座の日下隆教授が話す。