会見では「他の(日本人メジャーリーガーの)選手も出場してくれることを願っている」と話した青木。日本の多くの野球ファンも同じ想いだったが、結果的には青木に続く者はおらず。ダルビッシュ有、田中将大、岩隈久志、前田健太、上原浩治、田澤純一、川﨑宗則、イチロー…。“ドリームチーム結成”の願いは叶わなかった。
辞退の理由はさまざま。故障ならば致し方ない。しかし、「シーズン前の大事な時期だから」、「所属チームから反対されたから」というのは、理解できても納得はできない。大事な時期であるのは誰もが同じ。反対されるのも分かり切ったことだ。要は、そのリスクと反対意見を押し切る“強い想い”が自分の中にあるかどうか。青木自身、移籍直後であり、所属チームからも「行ってこい!」と快く送り出された訳ではないという。交渉事であるから必ず一度は反対されるもの。そして自身5度目の移籍で「アピールはいつでもできる」ということを、青木は経験則として知っている。「自分の価値を高めるため」という計算はあるかも知れないが、それよりも「日本人として」というアイデンティティ、「日本のために」という強い思いのために、青木はリスクを承知で決断したのだ。
もちろん大会自体の価値の部分もあるだろう。サッカーのワールドカップならば、このような事態は滅多に起こらないのだ。加えて、アメリカやプエルトリコ、ドミニカ共和国などは続々とメジャーリーガーが参加を表明していることも、日本人ファンにとっては寂しく、不満が募る部分である。野球選手としての価値観、生き方は人それぞれ。その中で“決断”した青木の活躍に、何が何でも、期待したい。