もはや伝説となった北京五輪での「欽ちゃん走り」から4年――ロンドンでも、ジャマイカのウサイン・ボルト(25)に世界中の注目が集まっている。100メートル9秒58、200メートル19秒19と両種目とも世界記録を保持する"人類最速の男"。連覇へ敵なし、と思われていたが、思わぬところに「刺客」が潜んでいた。同じジャマイカの陸上クラブの後輩、ヨハン・ブレーク(22)だ。

 五輪直前に行われたジャマイカ選手権で、なんとブレークに100メートル、200メートルとも敗れる波乱。

「肩が上がってスピードが出なかった。トップスピードのブレークに追いつくのは難しい」

 と、らしくない弱音まで吐いた。

 新たなライバルが出現した今回の五輪。スタートが苦手なボルトにとって、ルール改正で2010年からフライングが一発失格になったのは懸念材料だが、実はもう一つ、意外な"難敵"が存在する。ブレークのつけている腕時計だ。

「リシャール・ミルというスイスの高級時計です。これをつけたスポーツ選手はやたらビッグタイトルを獲得する。まさに幸運を呼ぶ"アゲ時計"で、ブレークにも今回、何かが起きるかもしれません」(ファッション誌ライター)

 どれほどすごいか実例を挙げると、テニスのラファエル・ナダル(スペイン)。09年に時計をつけ始めると、翌10年の全仏、ウィンブルドン、全米で優勝。全豪を含めた4大大会を全制覇する「生涯グランドスラム」を、史上7人目にして最年少の24歳で達成した。

「かなりの高級時計なんですよね。一番安いものでも約400万円もする。ナダルがつけているモデルは約5千万円で、ブレークがつけているのも、おそらく同程度の価格でしょう」 (同)

"ご利益"には、カネがかかるようだ。

※週刊朝日 2012年8月17・24日号