2016年は1軍登板なしに終わった杉内俊哉 (C)朝日新聞社
2016年は1軍登板なしに終わった杉内俊哉 (C)朝日新聞社
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 実績や経験を持ちながらも不遇の1年を過ごした選手がいる。来たる2017年に復活をかけ、自らの価値を再び証明することを目指す投手を紹介する。

 来季はリベンジの年。それは2年前の沢村賞右腕、金子千尋(オリックス)も例外ではない。手術明けだった昨季と違い、今季は2年ぶりの開幕投手を務めるスタートを切ったが、登板6試合目の4月30日まで初勝利が遅れると、6月には故障で約1カ月の戦線離脱。その後も波に乗れず、登板24試合で7勝9敗、防御率3.83。2ケタ勝利を逃すだけでなく、プロ12年目で自身初の負け越しとなった。

 まだ33歳という円熟期にあり、決して衰える年齢ではない。来季は4年契約の3年目となり、推定年俸5億円は引退した黒田博樹に代わって日本球界最高年俸となる。だが、この2年で計14勝15敗は、その肩書に相応しいとは到底言えない。自身もそのことは重々承知。チーム自体も優勝争いから早々に脱落し、自身も侍ジャパンからもすっかり遠ざかった。来季は、改めて自身の存在と実力を証明しなければならない。

 沢村賞組では、杉内俊哉(巨人)、攝津正(ソフトバンク)の2人も来季は自身の復活をかけるシーズンになる。2005年に沢村賞を受賞した杉内は2015年の10月に右股関節の手術を受け、今季は夏までリハビリに時間を費やし、7月にようやく実戦復帰。その後、2軍で4試合に登板したが、1勝2敗、防御率5.21に留まり、プロ入り15年目で自身初の1軍登板なしに終わった。今オフの大型補強で、まずは激しいチーム内競争を勝ち抜かなければならないが、契約更改の場で「ローテを守れれば2ケタ勝てる自信はある」とキッパリ。シーズン終了後の秋季キャンプでは期待を抱かせる投球を見せており、その言葉も単なる強がりではない。松坂世代の36歳。まだまだその左腕に輝きは残っているはずだ。

 2012年に沢村賞を受賞した攝津は今季、5年連続の開幕投手を務めたが、不振で結果を残せずに、わずか7試合の登板で2勝2敗、防御率5.59と不甲斐ない成績でシーズンを終えた。攝津が本来の状態であれば、チームが逆転優勝を許すこともなかったかも知れない。来季は3年契約の2年目。文句なしの結果を残し、工藤公康監督の信頼を勝ち取りたい。攝津もまだ34歳。もうひと花咲かせることはできるはずだ。

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