しかし、指揮官の受難はさらに続く。まず、フル代表のアントニオ・リューディガーが負傷離脱。これでヨナタン・ターが追加招集され、五輪チームから守備の要がいなくなる。さらに、マキシミリアン・アーノルトが盲腸の手術。サネらEURO招集組が抜けて人材不足の中盤がさらに苦しくなる。そのポジションの次点だった選手を招集すればいいという話ではない。例の条件をすべてクリアした選手を探さなくてはならないのだから、当確の選手を外すことも念頭に、やり直しである。ルベッシュ監督とフリックSDは再度の交渉に奔走した。クラブ側の了承を得ることができず、7月14日に予定されていたメンバー発表は、15日にずれ込んだ。
そして迎えたメンバー発表、ドイツ国内では「綱引きが終了した」「妥協に妥協を重ねた」と伝えられ、ファンからは「ベストメンバーじゃない」「期待できない」との声が上がった。しかし、ルベッシュ監督が万難を排してたどり着いたチョイスはそう悪くない。ユルゲン・クリンスマンを彷彿とさせる生粋のストライカー、ニルス・ペーターゼンのほか、スヴェンとラースのベンダー兄弟がオーバーエイジ枠で呼ばれ、マティアス・ギンター、ダヴィー・ゼルケ、セルジュ・ナブリーら主力も残っている。
「まずはグループリーグ突破。できればメダルがほしい」と語るルベッシュ監督。4日の初戦、ドイツはロンドン五輪でブラジルを下して優勝したメキシコと対戦する。