こうしたなか、DFBとクラブは協定を結ぶ。まず、「チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの予選に出るチームから選手を呼ばない」。これでヘルタ・ベルリンのミッチェル・ヴァイザーやボルシアMGのマフムード・ダフードらがNGとなった。そして「夏の間に移籍する選手は呼ばない。移籍先になじむことを最優先とする」。ティモ・ヴェルナーもこれで消えた。さらに「8月5日開幕の2部リーグからは招集しない。かつ、1クラブから貸し出せるのは2人まで」。呼べる選手がどんどんいなくなっていく。
さらにルベッシュ監督にはDFBからこんな注文がついた。「U-21欧州選手権のポルトガル戦のような試合はやってくれるな」。ドイツはこの大会、準決勝でポルトガルに0対5と惨敗した。リオでそんな負け方はやめてくれというのである。フル代表から1人も呼ばず、協定を守り、強いチームを作れ──そんな無茶な、と言いたくなる。
いっそのこと、代表を引退したフィリップ・ラーム、ミロスラフ・クローゼをオーバーエイジで呼んでしまえという声もあった。しかし指揮官は、五輪出場権を手に入れたメンバーと戦いたいと、そこは譲らなかった。制限があっても、戦えるチームを作る。この大会を最後に退任するルベッシュ監督にも意地がある。