8月7日に開幕する第98回全国高校野球選手権大会。すでに沖縄や青森、山形などは代表校が決まっており、今月中に代表全49校が出揃う。毎年のことだが、今年も甲子園常連の強豪校が早々に敗退する波乱が各地で相次いでいる。
7月23日に行われた西東京大会の準々決勝では、注目のスラッガー・清宮幸太郎を擁する早稲田実業が八王子に4-6で敗れた。残念ながら、今年の夏は怪物・清宮が甲子園でアーチを架けるシーンは見ることができない。
福井では、昨年のセンバツを制した敦賀気比が初戦で坂井に敗れた。注目のエースの山崎颯一郎が好投を続けたが、延長15回の末に2対4で惜敗。5季連続の甲子園を目指したが、早すぎる夏の終わりを迎えた。
春夏通算5度の甲子園優勝を誇る大阪桐蔭は、3回戦で関大北陽に逆転負け。こちらもドラフト候補左腕・高山優希の力投に打線が応えられず、1対2で敗れた。毎年のように他を圧倒する強力打線が、わずか4安打。最後まで相手投手をとらえることができなかった。
京都では、史上2校目の甲子園通算100勝に王手をかけている今年のセンバツ4強の龍谷大平安が4回戦で姿を消した。相手が強豪の福知山成美だけに、紙一重といえばそれまでだが、センバツ4試合を一人で投げ抜いたエースの市岡奏馬を今大会初登板させての痛恨の敗戦。一発勝負の怖さを思い知らされる試合だった。
秋春の埼玉大会を制した浦和学院は、4回戦で市立川越に完封負けを喫した。エースの榊原翼は直球を狙われ、序盤で失点。3回途中でマウンドを降りた。代わった1年生の佐野涼弥が好投を続け、相手打線を封じたが、左打者6人の打線が左腕・メンディス海の前に5安打無得点。走塁ミスや不運も重なり、ホームを踏めなかった。
秋から新チームがスタートし、秋季大会、明治神宮大会、センバツ、春季大会と重要な試合があるが、やはり「夏が本番」と考える学校が多いだろう。甲子園に直接つながらない春季大会では新戦力を試したり、ライバル校になるべく研究されないように主力を温存したり、思惑はさまざまだ。他校に徹底的に研究されるのは、追われる立場の宿命だが、それを打破して過酷な夏をどう勝ち抜いていくかが、地方大会の醍醐味でもある。(文・嶋中貴史)