およそ1カ月にわたって熱戦が繰り広げられたEURO2016も、残すは決勝のみとなった。開幕当初は暴徒化したファンが注目を浴びたが、フランスに集結したのは暴力的なファンばかりではない。団結力で人々を感動させ、人情とユーモアのなせる業で人助けに一役買ったサポーターもいる。
「団結」と言って思い浮かぶのは、アイスランド代表とそのサポーターだろう。国民の大半が妖精の存在を信じる国アイスランドからは、実に人口の10%がフランスに駆けつけた。その集団が披露し、大会の目玉となったのがいわゆる「ヴァイキング・クラップ」だ。選手とサポーターが心をひとつに「Huh!」と鬨(とき)の声を上げながら、頭上で手を打つ姿は圧巻。イングランドに歴史的勝利を挙げたあと、ファンブロックの前でアーロン・グンナルソンが音頭を取った「クラップ」は鳥肌モノで、今大会のハイライトシーンとなった。
欧州メディアが「ヴァイキング・クラップ」と名付けたこのセレブレーションだが、アイスランド地元紙によると、発祥はスコットランドのクラブ、マザーウェル。彼らと対戦したアイスランドのクラブチームがこれにいたく感銘を受けて国内に紹介、いまや代表の“儀式”にまで昇格したという。