「人情と団結とユーモア」のすべてを発揮し、人助けに貢献したのは、北アイルランドとウェールズのサポーターだ。決勝トーナメント1回戦の対決を前にパリ市内に集まっていた両者だが、迷子になった少年を発見するとすかさず団結。ポストかゴミ箱の上に少年を立たせて名前をチャントし、自分たちはしゃがんだ上で「息子と離れた人は立ち上がれ」と『Go West』のメロディーで歌った。その甲斐あって父子は再会。両サポーターは敵味方関係なく喜び合い、その場は最高にハッピーな雰囲気に包まれた。サッカーの大会が「祭典」であることを実感させるひとコマである。
「ユーモア」ではアイルランドサポーターも負けていない。熱狂的ながら暴力とは無縁なことで知られる彼らは、フランスでも茶目っ気を振りまき、相変わらずの愛されキャラだった。電車で赤ちゃんを見つければ「キラキラ星」を歌ってあげ、高齢の夫婦がパリ市内で車にトラブルを抱えれば駆け付けてタイヤ交換を手伝い、バルコニーから暴言を吐いた住人には、拍手で嵐のようなセレブレーション(住人が引っ込むとブーイング、出てくると大喝采)。興奮のあまり広場に駐車されていた車の屋根をへこませた時にはみんなでドアの隙間に札束を挟み込み、修理代をカンパした。