糸井:で、アニメにぼく近づかなくなったんですよね。
浦沢:はいはいはい。
糸井:でも浦沢さんはそこは貪欲に。
浦沢:貪欲に。面白いアニメだな~って思うと、「みやざきしゅん」って人の名前が入ってるんですよ(会場笑)
糸井:そこも見てたんだ。
浦沢:見てました。
糸井:録画とかなくて?
浦沢:はい。
糸井:はあ。
浦沢:面白いって思うところには、なんかいつも同じメンバーがいて。さっき話した東京ムービーが「巨人の星」を作っていたころに、虫プロダクションが作ってた「あしたのジョー」を見て、明らかに同じ人が描いてるって思ったんですよ。それで、後に「YAWARA!」をアニメーション化するにあたって、もうあのころから30年後くらいですかね、マッドハウスの丸山(正雄)社長とお話ししていて。で、丸山さんって「あしたのジョー」とかでバーンと制作者で名前出ますよね。で、「巨人の星」の花形満の回を描いた人が、「あしたのジョー」も描いていたような気がするんですって言ったら、そしたら、それ荒木伸吾だよって。
糸井:異動したんですね。
浦沢:いや、同時に描いてたんですよ。
糸井:はー。そしたら「あしたのジョー」でも、さっきの花形のホームランみたいに、相手が飛んでくシーンとかあった?
浦沢:あのね、えっと荒木伸吾さんの特徴としてね……(筆を持つ。会場笑、拍手)。荒木伸吾さんの特徴としてね、こう(※写真10参照)。
糸井:おー。ジョーだ。ジョーだじょー(会場笑)
浦沢:でね、これ、腕はね、こういう感じでね。
糸井:だらーんですか?
浦沢:だらーんがね、ちょっと手がでかめなんですよ。
糸井:ほうほう。
浦沢:わりとね、こういう感じの手なんですよ。
糸井:だらーん感が出るんですかね。
浦沢:そう、こうやるとね、この手の感じ、これがね、荒木伸吾さんなんですよ(※写真11参照)。
糸井:これはね、急に「はい」って言えないよ(会場笑)
浦沢:これね、わかる人は「うんうん!」って言ってくれると思う。
糸井:素手でもいいんですかこれ。ボクシング。
浦沢:あ、これ、これは少年院の服です(会場笑)
糸井:あ、少年院だから。なるほど。
浦沢:や、これね、わかる人はにはわかるはず。ちょっと手がでかいんです。
糸井:動画になっても浦沢さんの追跡は続いていた。分類されても、されても、あらゆるジャンルでこういうふうに見るようになったってことですね。
浦沢:そうです、そうです。
糸井:それが今の浦沢漫画に生きてると。
浦沢:「侍ジャイアンツ」にどうも、あれは何だったかな、「ハイジ」だったかな。
糸井:あはは。
浦沢:「ハイジ」やってる人が「侍ジャイアンツ」にいるって思ってたら、ジブリの鈴木敏夫さんが「侍ジャイアンツのオープニング、宮崎駿だよ」って(会場笑、拍手)
糸井:それなら、おまけみたいな話だけど、マリオの中に宮崎チームがあるのはわかりますか?
浦沢:え、なになに?
糸井:小田部(羊一)さんっていう人が、後に任天堂に入ったんで、任天堂のゲームの動きは、小田部さんの指導を受けてるんですよ。
浦沢:あー、そうなんですか。
糸井:社内に入ってますからね。
浦沢:あの「ひょーい」が(会場笑)
糸井:そう、そうなんですよ。
浦沢:「てぃてぃてぃてぃひょーい」ってやつが(会場笑)
糸井:宮本(茂)さんが動きをつけるときに、小田部さんの指導を受けてるんですよ。
浦沢:あのチームの動きなんだ。それは面白いわけだね。
糸井:そうです。東映動画からの流れです。終わりにしないと怒られそうなので(会場笑、拍手)
浦沢・糸井:ありがとうございました。