お酒を1合飲んで、2500~3500円。料理の量で変わる。決して高くない、というかむしろ安すぎると感じる。
残念ながらこの一帯は耐震強化を含めた再開発の波が来ていて、この店がある場所も工事がはじまる予定だ。いつからはじまるのか、その間店はどうするのか、工事終了後はどうなるのかなど、すべては未定だという。
次に紹介する鳥料理の店「よしだ」は、1964(昭和39)年開業の焼き鳥屋。約30年前に2代目マスター、吉田義一さんが先代の父から引き継いだ。約20年前から現在のおまかせスタイルに変わったという。
仕込みの関係もあるので、はじめて来店するときは基本的に電話予約をしてほしいという。「予約の際に苦手なものを言ってもらえればそのように献立を考えます」(吉田さん)。
8品ほどが順番に出され、だいたい2500円プラスお酒代という価格だ。お酒はビール、日本酒、焼酎があるが、焼酎のグラス売りはない。ボトルが運ばれてきて、「だいたい飲まれた量で計算しますから」と言う。料理を次々に出すのに忙しく、お酒を作ることができないのだ。ウイスキーはないが、「予約のときに言ってもらえれば用意しておきます」とマスターは微笑む。
予約のお客さんと同じ料理の量を少し変えたものや、ちょっとしたつまみを日替わりで常連に出していく。ふわふわでハンバーグのような形の絶品つくねは、その配合や焼き鳥のタレを先代からしっかりと引き継ぎ、味を守っている。わさびがきいた鳥の磯辺焼きや丁寧な手仕事をした鳥わさ、手羽先がホロホロと柔らかい博多煮など、どれもこれも箸が進み、酒も進む。2回目の来店時には前回と違う料理を出すようにしているという。常連さんも多いので、日々、メニューは変わっている。
「お酒を全然飲まないお客さんは困りますね。飲み屋なんでね」
とマスター。しかと心得ておきたい。
「ミルクワンタン鳥藤」「よしだ」の2店に共通していえるのは、「おなかを空かせて行く」ということ。いずれも2軒目に行く店ではないと心得ておこう。(文・写真/はるやまひろぶみ)
【店舗情報】
ミルクワンタン 鳥藤
住所:東京都千代田区丸の内3-7-9
営業時間:17:30~23:30 土日祝休
よしだ
住所:東京都新宿区払方町2
営業時間:18:30~23:30 日祝休