反対に、「残留」を宣言したのが今季24ゴールを叩き出したジェイミー・ヴァーディーだ。「まるで兄弟のよう」とチームの団結心に胸を張る29歳のストライカーは、レスターを心の拠り所と捉えているようだ。しかも、堅守速攻のプレースタイルと自身の持ち味が完全に合致。残留の決断は極めて理にかなっていると言えるだろう。
よって、今オフにはマフレズとカンテの二人を失う可能性があり、レスターも退団に備えて後釜探しに動き始めているようだ。マフレズの代役候補と見られたウスマン・デンベレはドルトムントとの争奪戦に敗れて獲り逃がしたが、スティーブ・ウォルシュ助監督を中心とするスカウト陣は慧眼を生かし、引き続き欧州の若きタレントに目を光らせている。
また、カンテとポジションが重なるセントラルMFには、サウサンプトンのビクター・ワニャマをピックアップしていると言われる。しかし、屈強な身体を使って最終ライン手前の防波堤として機能するワニャマと、ピッチを縦横無尽に駆け回るカンテのプレースタイルは異なるため、彼らの“本命”かどうかは不明だ。スポルティング・リスボンのウィリアム・カルバーリョに注目しているとの報道もあるが、こちらも発掘・人選を含めたスカウト陣の手腕が大きく問われることになる。
さらにレスターには、選手層の拡充というタスクも課される。今季プレミアリーグでレスターが起用した選手数は「23名」。この数字はリーグ最少で、リーグ最多の34名を起用したリヴァプールに比べると、まるまる1チーム分も少ない。今季はFA杯とリーグ杯で早期敗退し、プレミアだけに集中できたアドバンテージがあっただけに、CL参戦で過密日程となる来シーズンに向け、選手補強は必須事項になる。