式場見学は、自分と家族のため納得いくまでおこないたい(撮影/倉田貴志)
式場見学は、自分と家族のため納得いくまでおこないたい(撮影/倉田貴志)
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 故人との別れの場である葬儀。 まだ元気なうちから考えるなんて「縁起が悪い!」 と思う人より、近年は自分らしい葬儀について、 しっかり考える人が増えてきている。週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』に掲載した、葬儀場見学の様子を特別にお伝えする。

【葬儀場見学の様子はこちら】

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「ここで式を挙げたい!」

 実はこれ、結婚式場ではなく葬儀場でのセリフ。事前予約で無料の見学相談会を実施している「葬想空間スペースアデュー」(東京都)では、見学者を高級旅館のようなシックなインテリアの式場に案内すると、感嘆の声が上がることが多いという。

 確かに、結婚式場はこだわりを持って何カ所も見学する人が大勢いるが、葬儀場を吟味する人は少ない。自分が亡くなってから、家族が慌てて近所の葬儀場に連絡し、睡眠不足と疲労のなか、勧められるままに葬儀プランを決めるのが一般的だろう。 「ここでおこなう葬儀の80%以上が、事前に、ご本人もしくはご家族が相談に来られています」

 そう話すのは、同所を運営する(株)マルキメモリアル21代表取締役の白井勇二さん。1千人以上の見学者の相談に乗ってきた。

「家族葬や無宗教でいいといっても、先祖代々の菩提寺があるかどうかで手続きや内容は変わってきます。また、無宗教の場合はどんなお別れの会にするか、内容を決める必要があります」 打ち合わせをしながら、したいことやできることを徐々に明らかにしていくという。

 元気なうちに準備を始めれば、時間はたっぷりある。どのような空間で、装花はどうするか? 棺はどれにするか? 弔問客をどんな料理でもてなすか?といった細部までじっくり考えることも可能だ。

 多くの葬儀場では葬儀の事前予約を受け付けている。万が一の時、家族がその葬儀場に連絡すれば、病院への寝台車の手配からスムーズにおこなってくれるという。

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