「大勢の客によるトイレ利用で水道代は跳ね上がるし清掃の手間もかかる。でも、それを声高にいえない。震災の鎮魂目的で行われているルミナリエ。やって来る人、皆、敵に廻しかねませんから」(ルミナリエ順路に位置するコンビニ関係者)
もっとも地元・神戸でも、幾度となく“ルミナリエ休止”の声は上がっていた。前出の神戸市関係者がその内情を次のように明かす。
「コンビニエンスストア、百貨店のトイレ利用客問題ほか、回を重ねるにつれ、単なる観光イベント化が著しくその割には観光収入が増えたというわけでもない。遠くからバスでやって来てただ鑑賞して帰るだけだから。お金を落とす場所も限られている」
また、今回の事故にみられる安全性への懸念も、過去、幾度となく浮上したが、検証される機会を設けることもなかった。経験則に照らして大丈夫だというのがその理由だ。
「経験則という根拠のないものに頼ること自体が間違い。科学的な論拠に基づいた絶対的安全を二重、三重に担保しなければ、この手のイベントを行ってはならない。これまで安全性について振り返れることがなかったことが問題だ」(前出の神戸市関係者)
今回の事故を受けて神戸ルミナリエ組織委員会はHP上に次のように発表した。
<12月11日(金)未明、強風の影響により、神戸ルミナリエ会場内の噴水広場に於ける作品が被害を受けましたが、会場内総点検の結果、安全であることが確認でき、天候の回復が見込めるため、噴水広場の作品を除き、仲町通、東遊園地の作品については通常通り点灯いたします。>
だがここでもなぜ“安全である”といえるのか。その根拠がまるで示されていない。震災の犠牲者の鎮魂目的のルミナリエで事故はあってはならないことだ。これまでの点検に問題があったからこそ、今日の事故に繋がったことは明白だろう。今こそ事故原因の徹底解明が求められる。
(フリーランスライター・秋山謙一郎)